Rara Lab(ララ・ラボ)

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ガーネットのためのデザイン(1)

アメリカのカッターさんで、研磨用原石の販売もされていた方が完全に引退されるため、去年の秋頃から年末にかけ、数回に分けて在庫を譲っていただきました。

在庫の中に、「color change garnet」とだけ書かれた、産地不明のガーネットの小袋があり、ずっと気になっていました。グレーがかったパープルが多く、オリーブグリーンの小さい原石も入っています。どうしても気になって、最後の方の便で送ってもらいました。

今回はその中から3つ、同じ色合いのグレーがかったパープルの原石をカットしました。
(研磨後に1つソーティングに出したところ、マラヤガーネットとソーティングされました。)

ガーネットをきちんとカットするのは今回が初めてなので、色々と試してみました。試した内容をデザイン別にご紹介します。

デマントイドガーネット “RBC-529” 0.414ct

お買い物ページはこちら > https://www.raralab.shop/product/demantoid-garnet-rbc-529-0414ct/65

まず、小粒のガーネットに良さそうなデザインを探し、テスト用に使っている、インクルージョンの多いデマントイドガーネットの原石でテストしました。

オリジナルデザインは「RBC-529」(Richard B. Conley、2014年6月)です。
ファセット図はこちら > http://www.facetdiagrams.org/database/files/pc01679.html

このデマントイドは元のファセットデザインに変更を加えず、そのままの角度でカットしました。
可愛くできたのですが、インクルージョンが少し多いため、この角度がガーネットの屈折率に合っているのかはわかりません。

カラーシフト マラヤガーネット “RBC-529” 0.36ct

お買い物ページはこちら > https://www.raralab.shop/product/color-shift-malaya-garnet-rbc-529-036ct/62

デマントイドのテストカットがスムーズにできたので、いよいよカッターさんに送ってもらった小袋の原石をカットします。きれいなルースで、原石の状態でも、色々な光源にかざすと色が変わりました。

オリジナルデザインはキュービックジルコニア用の角度になっていたので、角度を調整してガーネットに合う角度を探します。

今回はクラウンを5度ほど低くして、

  • C1=29.50→24.35

  • C2=22.00→17.91

に変更してみました。

削り終わったルースは、原石から予想していた色より少し濃いめでした。

撮影に使った光源は昼間の太陽の色に近い色(5000K)です。作業場にはほかにも2種類の白っぽいLED灯があり、電球色のLEDも別の場所にあります。LEDでも色の出方が少しずつ変わるので、楽しくなってしばらくあちこち移動して眺めていました。
そして、電球色のペンライトで照らしてみると、ちゃんと赤っぽい色に変化します。

太陽光は光源の色ムラがないので、LEDの照明の下で動かした時の方がいろんな色が見えて、断然楽しいです。

ちなみに、原石は白っぽい色のLED灯(やや古め)の下でグレーに見えたのですが、削り終わったルースにはグレーが見当たりませんでした。

カラーシフト マラヤガーネット “RBC-529” 0.48ct

お買い物ページはこちら > https://www.raralab.shop/product/color-shift-malaya-garnet-rbc-529-048ct/63

もう少し明るい色にしてみたかったので、Gem Cut Studio (https://gemcutstudio.com) で、最も明るくなる角度を探しました。

いろいろな角度の組み合わせを比較したところ、ガーネットのクリティカル・アングル(Critical Angle)に近い角度が最も明るくなりそうでした。オリジナルデザインからパビリオンが4度低く(浅く)、クラウンが5〜7度高いです。

正確な角度は次のとおりです。

  • P1=44.00→40.53

  • C1=29.50→36.41

  • C2=22.00→27.77

できあがったルースの色味は、これの前にカットした0.36ctのルースとそれほど変わらない印象です。動かすと、反射する光が少し明るい感じです。

クラウンとパビリオンの角度の違いがわかる写真を並べてみました。

左から、
デマントイド→クラウンが低いマラヤガーネット(0.36ct)→クリティカル・アングルに近いマラヤガーネット(0.48ct)
の順番です。

写真のサイズ感をきちんと合わせていないので寸法はだいたいですが、パビリオンとクラウンの角度の違いがわかると思います。


ガーネットのためのデザイン(2)に続きます。

撮影機材

動画の編集ソフトをDaVinci Resolve(無料版)にしました。
色調整がより細かくできるようになり、石の微妙な色を再現しやすくなりました。

Olympus OM-D E-M1 Mark II
Super-Multi-Coated BELLOWS-TAKUMAR 100mm f4 M42
AUTO BELLOWS
Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm f3.5 M42(ソーティング)
エコリカ高演色LEDランプECL-LD2EGN-L3A(5000K)
Capture One 23
DaVinci Resolve